イントロダクション
このチュートリアルは、分子機能化学講座で Gaussian を使用したい方向けに、セットアップの方法と Gaussian を扱うために最低限必要な知識を、手元の PC で実際に操作していただくハンズオン形式で解説することを目的としています。
Gaussian とはなにか
Gaussian は、量子化学に基づく分子の電子状態計算を行うためのプログラムです。量子化学計算ソフトウェアのなかで最もよく使われています。
Gaussian はとてつもなく巨大なプログラムですので、いわゆる「スパコン」と呼ばれるような外部の大規模コンピューターに搭載されていることがほとんどでしょう。したがって、Gaussian を使用する際には、手元の PC から Gaussian がインストールされている外部環境にネットワーク経由でアクセスして、操作してやる必要があります。
これを行うためには、コンピューターをテキストで操作する「コマンド」の知識が必須となります。ソフトウェアといっても、PC にインストールして、マウスで画面をポチポチやって...と扱えるような代物ではないわけです。
どうやって使うの?
Gaussian 上でデータを扱うための基本単位は「テキストファイル」です。ユーザーが分子の構造情報(各原子の3次元座標)を羅列したファイル (input) を投げると、Gaussian は入力された情報に基づいて計算を実行し、結果を新しいファイル (output) に書き出します。
ユーザーは、Gaussian が吐き出した結果ファイルから必要な情報を読み取って、実験結果と比較したりできるわけです。
Gaussian でできること
Gaussian はかなり多くのことができますが、特に有機化学の分野では、密度汎関数理論 (DFT) に基づく分子の電子状態計算を行うことがほとんどかと思います。Gaussian で DFT 計算をする場合、ユーザーは主に以下の点に気をつけてファイルを作成する必要があります:
- どんな計算をするか?
- 分子構造の最適化 (
opt) - 振動数計算 (
freq) - 時間依存密度汎関数法 (
td)
- 分子構造の最適化 (
- どの理論レベルを使うか?
- 汎関数の選択(
B3LYPなど) - 基底関数系の選択 (
6-31G(d)など)
- 汎関数の選択(
- 原子座標の指定
- カルテシアン座標
- Z-Matrix
上で示した例はほんの一部にすぎません。細かい仕様やオプションは、HPCシステムズ Gaussian マニュアル などを当たってください。
当研究室で使用できる計算リソース
NMR 室にある分子機能のサーバーと、分子科学研究所 計算科学センター(分子研)から提供されているサーバーを使用できます。
分子機能の計算サーバー
- Gaussian 3
- GaussView 4
分子研の計算サーバー
- Gaussian 16
- GaussView 6
ほかにも、多くのパッケージソフトウェアを利用できます。